タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
部屋にこもり、泣いた。


泣いて、泣いて、泣いて泣いて泣いて。


毎日毎日、ただ泣き暮らした。


でも、どんなに泣いても、ブランは戻って来ない・・・。


スエルツ王子とアザレア姫が、ずいぶんあたしを心配して。

本当に親切にしてくれたけど。


あたしは、日に日に痩せていった。



ある夜。


あたしは、仮住まいを抜け出した。

誰にも見つからないように。


そして山へと向かった。

おタヌキ山へ。


月明かりだけの暗い山道を、手さぐりで歩く。


何度も転んだ。

草や枝で顔や手足を切り、血が出た。


草を分け入り、けもの道を通り、奥へ奥へと進んでいく。


ゼエゼエと息が乱れる。


汗がポタポタ雫のように流れた。


もうずっと、水も食べ物もノドを通らなくて体力が落ちている。


苦しくて、意識が薄れる。


それでも歩いた。

ふらつく足で、前へと進んだ。


あの場所へ。


タヌキ達と・・・ブランと出会った、あの場所へ・・・・・・。


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