タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「これはもう、他種族の力を借りるよりないであるな」


ブランと一緒におタヌキ王に相談したら、そんな答えが返ってきた。

他種族って?


「この山の上に住んでいる、鳥の一族のことであるよ。それはそれは美しい羽根をもっている鳥である」


言われてみれば、キレイな小さい鳥が飛んでるのを見たことがある、気がする。

めったに見ないけど。


「その鳥の羽をもらって、服に変化させればよいのである」


おタヌキ王の発案に、ブランが感心したように同意した。


「それは良い考えですね。あの羽なら、きっと素晴らしい服に変化させられます」


「白騎士、ミアン、さっそく鳥の一族を訪ねるであるよ」


「はい! よしミアン、行くぞ!」


そんなわけで、あたしは鳥の一族を訪ねに山登りをすることとなった。


「頼みごとをするんだから、手みやげに」と、おタヌキ王に持たされた生魚。


何匹もの魚が、細長い棒状の枝に突き刺さっているのを肩に引っさげ。


そして頭には、真っ白なタヌキを帽子のように乗っけて・・・。


「ちょっと! 自分の足で歩きなさいよ!」


「歩幅が違いすぎるだろ。それに人間に変化すると必要以上に体力消耗するし」


「自分だけ楽してズルいー!」


実際、山登りは厳しい道のりだった。


上に登れば登るほど、どんどん足元の状態は悪くなる一方。


人の手が一切入ってないから、もう植物ボーボーの無法地帯。


ひーっ。草の丈が高すぎて、前が見えない~。葉っぱがチクチク刺さって痛痒い~。


足が疲れた~。汗かいた~。石につまづいて転んだぁ~。

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