タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
この辺じゃ高さも広さも一番の、大きなお屋敷の裏手へ回る。


若だんな様とあたしは、少し離れた場所に建っている古びた物置小屋へ入った。


「この小屋の荷物を整理しろ。ここにスペースをつくれ」


あたしはゲンナリして小屋の中を見渡した。


使われなくなったボロい家具や、農具が乱雑に積み重なっている。


うげえぇ、埃だらけじゃん。これ触るの?


でも当然拒否できるはずもなく、厭々荷物を抱え、小屋の隅に積み重ねていく。


若だんなは手伝おうともせずに、あたしを監視しながら扉の近くで見張っていた。


やれやれ、見張ってなくても仕事サボりなんかしな・・・


「・・・・・・!?」


突然、若だんなに背後から抱きしめられてあたしの頭は真っ白になった。


わけが分からなくて体が固まってしまう。


あたしの背中にビタリと密着している、中年男の胸と腹の感触。


ちょっと、この態勢って、まさか・・・


・・・・・・おんぶの要求?


なワケないって!!


いきなり何すんのよこら! 放してよ!


身をよじろうとした時、若だんなの両手が背後から伸びてあたしの胸を鷲づかみした。


ぞおおぉぉっ! と全身に悪寒が走る。


ヒイィッ!? な、な、な・・・!?

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