タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「ブラン! ブランしっかりしてえ!」


大蛇は態勢を立て直し、転げるブランにゆっくりと近づいていく。


そしてガクゥッと口を大きく開けて、ブランの体に一気に食らいついた。


「・・・ブランーーー!!」


あたしの体からザッと血の気が引いた。


「ギャーンッ!」


腰から下半分を大蛇の口に飲み込まれ、ブランの口から再び悲鳴がほとばしる。


必死に両前足で地面を掻き、抵抗していた。


・・・・・・だめだ! 牙が体に突き刺さって逃げ出せない!


あたしも必死の思いで、そこら中をグルグルと見渡した。


なにかない!? なにか、なにか・・・!


・・・・・・・・・・・・!


あたしの目に、手みやげの魚を突き刺していた枝が映った。


飛びつくように枝を拾い、大蛇に向かって突っ走る。


「ブランを・・・放せ! この化け物ー!!」


叫びながら、メチャクチャに大蛇の体に枝を突き刺す。


それなりに長さも太さもある枝は、なんとか大蛇の体に刺さってくれた。


放せ! 放せ! 放せー!!


無我夢中になり、髪を振り乱してあたしは突き刺し続ける。


ようやく大蛇の口からブランが吐き出されるのが見えた。


やった! ブラン逃げて!


・・・・・・ハッと気付いた時には、もう遅かった。


いつの間にか近づいていた大蛇の尾が、シュルッとあたしの胴体に巻き付いてしまう。


しまった!


次の瞬間、信じられないほどの力であたしの体は締め上げられていた。

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