タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
やった! 命中ーーー!


あたしはそのまま勢い余って、地面に転げる。


大蛇はブランの首を放して、断末魔のごとくにのた打ち回って苦しんでいる。


飛び跳ねるような動きに、地面がズゥンズゥン・・・と振動した。


狂ったように動き回る尾が周囲の石を巻き上げ、四方八方に飛び散らせる。


危な・・・当たる!


両腕で顔をガードするあたしの目の前に、白く大きな影。


ブランが、あたしを石のつぶてから身を挺して守ってくれていた。


大蛇は巨体を波のようにくねらせ、入り口に向かって猛スピードで逃げていく。


そして体に槍を深々と突き刺したまま、ついに退散していった。


「よおぉっしぃ! 害虫駆除終了ー!」


やったね! ざまーみろ!


そんなデカい体で、もう二度とよそ様のお宅に入り込むんじゃないぞ!


「だいぶ深手を負わせたが、ヘビはとにかくしぶといからな」


「そうね。あれだけデカいと、さぞかしネチッこさも相当なもん・・・」


あたしはハッとした。


「ブラン大丈夫だった!?」


「オレは平気さ。あいつ図体がデカい反面、毒性は弱いらしい」


大虎のブランの顔が、少しだけ赤っぽくなっている。ホントに大丈夫?


心配するあたしを見て、凛々しい虎の表情が柔和に和んだ。


「ミアン、たいしたもんだな。あんな活躍するなんて」


「木の枝を槍に変化させてくれた、ブランの機転のおかげだよ」

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