タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
宝石を溶かして作ったとしか思えないような、この色! この輝き!


青、緑、黒の色彩が、絶妙な配置のグラデーションで変化する。


所々に混じる、黄や赤やオレンジの鮮やかさ。


あぁ、もう・・・さっきから頭がクラクラしっぱなし!


小さな悲鳴を上げっぱなしで興奮しているあたしを見て、ブランが笑った。


「ずいぶん嬉しそうだな」


「そりゃ、もう、だって、ほんとに、うわぁ・・・」


「おいおい、大丈夫か?」


「大丈夫じゃない! 頭が破裂しちゃうかも!」


馬車はいつの間にか大通りに入っていた。


道行く人々が、みんな揃ってこっちを注目している。


その羨望の視線を感じて、さらに興奮してしまった。


うわあ、どうしようどうしよう!


あたしって、どうしようもない俗物だわ! だって、込み上げてくるこの・・・


圧倒的な優越感! ひゃああー!


やがて前方に、目指すお城が見えてきた。


街の中心部の小高い広い丘に、堂々そびえ立っている。


ゴツゴツと角ばった四角い形の、くすんだ灰色の、素っ気ないお城。


戦争が得意で大好きな、王様の好みなのかな? 味気ないお城ねぇ。

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