タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
うおお困ったぁ!! 進みたくないのにどんどん列が進んでいくうぅ~!


目を白黒させて悶絶してるあたしの隣で、ブランが近くの観葉植物に手を伸ばす。


『ポンッ・・・』

小さな、変化魔法の音が聞こえた。


え? と見ると、ブランの手の中のちぎり取られた一枚の葉が・・・煙に包まれた招待状に!


うわあ! えらいー! ブラン!


ニヤッと笑ったブランが、あたしを見て得意そうにうなづく。


そして招待状をさり気なく盆の上に置き、執事がチラリとそれを確認して声を張り上げた。


「シーロッタ・ヌゥーキー男爵ご夫妻様、お成りー!」


・・・・・・・・・。


はい?

しーろったぬーき夫妻・・・とな?


あたしは無言でブランを見上げた。


ブランは誇らしげに胸を張り、堂々と立っている。


・・・おいおい。もうちょーっとヒネリのきいた偽名は浮かばなかったの?


まんまじゃん。バカ正直にそのまんまじゃん。


心の中で苦笑い。ほんっとタヌキって、素直というよりどっか抜けてると思う。


まぁ・・・そこが美徳なんだよね・・・。

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