タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
(・・・ハッ! し、しまった!)


つい、怒りのあまり必要以上に力が!


慌ててブランをぶっ叩く手を止めたけど、さっきより余計に注目されちゃってる。


も、絶対にバレる! てかもう、きっとバレたっ!


「あんな見事な髪の色は見たことがありませんわ」


「外国に長く遊学していらしたのよ、きっと」


「そういえばご夫妻とも、どことなくお作法が新鮮ですわ」


「きっとあれが、異国のお作法なのでしょう」


「えぇ。きっとそうですわね」


・・・・・・・・・・・・。


そっち? そーゆー方向に納得しちゃってる?


なんか勝手に、シーロッタ・ヌゥーキー男爵夫妻の経歴が、練り上げられちゃってるんですけど。


強引に自分に都合のいい解釈に持っていこうとする点は、タヌキたちに似てる。非常に。


なんだ。タヌキと貴族ってたいして変わりないじゃん。


これなら案外、ほんとに大丈夫かもね。素でいけそう。


「見目麗しい男爵さまですこと」


「ええ本当に! まるで絵画や彫刻作品を見ているようですわ!」


「見惚れてしまいますわ・・・。なんて美しいのでしょう・・・」


女性たちが、あたしを無言で睨んでるブランに熱い視線を送る。

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