ガーデンテラス703号
こんな空気で、ふたりで同じ部屋に帰るのって嫌だな。
そう思っていると、エントランスに降りてきたエレベーターの扉が開いた。
先に乗り込んでいくホタルの背中を見つめながら、エレベーターの前で立ち止まる。
「乗らねぇの?」
睨むように見られて、肩をビクつかせながらエレベーターに乗り込む。
今ここでエレベーターを見送ったとしても、帰る場所はホタルと同じだ。
エレベーターの中で距離を開けて立つと、ホタルがエレベーターの扉を閉めた。
7階まで。
狭い密室空間の中で、気まずい沈黙が続く。
7階について再びエレベーターの扉が開くと、ホタルは先に降りて703号室へと足早に歩いて行った。
その背中をのろのろと追いかけて、ホタルからだいぶ遅れて部屋にたどり着く。
部屋の前に着くと遅れて歩いてきた私に苛立った視線を向けながら、ホタルが玄関の鍵を開けた。
「さっさと入れよ」
のろのろしている私を、ホタルが部屋の中に押し入れる。