ガーデンテラス703号
「森岡さんとの食事、いい雰囲気だったんでしょ」
「うーん、どうなのかな……でも、別れ際におでこに軽くキス……みたいなことされたかも……」
恥ずかしくて、小さな声でボソボソと話したら、香織に絶叫された。
「えー!?そうなの?それって、もう告白されたみたいなもんじゃん」
「そ、そうなの……?でも、そんなようなことは何も言われてないし」
「言われなくても、普通に気付くでしょ?」
当たり前みたいに言う香織の言葉が、私の胸をほんの少しだけチクリと刺した。
「言われないと気づかないよ!それに……森岡さんみたいな大人で優しい人が、私と付き合ってもつまらないんじゃないかなとは思う」
「あゆか、遥斗とのことで、だいぶ男性不審になってるね」
強く反論したら、香織がため息まじりに笑った。
それから少し間を空けて、香織が意味ありげに問いかけてくる。
「あゆかが迷ってるのは、『ホタル』が気になってきてるから?」