ガーデンテラス703号



でも、私の思い込みの可能性だって高いから、ホタルの言葉で聞きたかった。


「それでもホタルは、昔シホのことが好きだったんでしょ。今はどう思ってるの?シホのこと」

今も、好き……?

それとも……


「知りたい?」

直接的な質問を避けた私に、ホタルが意地悪く微笑みかけてくる。

コクリと小さく頷いた次の瞬間、ホタルがすっと私に顔を近付けてきた。

ドキリと鼓動を鳴らした私の唇に、ホタルのそれがふわりと軽く触れる。

触れたかどうか微妙。だけど、確実に感じたホタルの唇の感触に、頭から沸騰しそうなくらいに顔が熱くなる。


「な、何?話を逸らさないで」

真っ赤になって声を荒げたら、ホタルがクッと笑いながら私の頬に手のひらをあてた。

ただでさえ熱いのに、ホタルの手のひらが触れる部分に、さらに熱が集中する。



< 304 / 393 >

この作品をシェア

pagetop