ガーデンテラス703号
「逸らしてないよ。今のが質問の答え」
笑いながらそう言ったかと思うと、今度は確実にホタルが唇を重ね合わせてきた。
角度を変えては何度も落とされるキスに、身体が蕩けてしまいそうになる。
ふたりだけのリビングに、甘い吐息が漏れ響く。
身体に力が入らなくなるくらいまで私を貪ってから、ホタルはようやくゆっくりと唇を離した。
何度も繰り返し求められた唇が、腫れぼったく痺れているのがわかる。
まだ至近距離にいるホタルを、熱のこもった目で見つめていると、彼がものすごく優しい目をして微笑んだ。
その笑顔にギュッと胸が痛くなる。
何か言おうと唇を震わせた私に、ホタルが低い声で優しくささやく。
「じゃぁ、おやすみ」
私の頭を愛おしげに撫でてから、ホタルはリビングから出て行った。