ガーデンテラス703号


1時間くらい残業しようかな。

迷っていたら、香織が隣の席から身を乗り出してきた。


「あゆか、終わりそう?今日の送別会、7時にお店予約してるんだって。早く終われそうなら、ちょっとだけお茶していこうよ」

「送別会?」

首を傾げながらそう返したら、香織が苦笑いした。


「え、まさか忘れてた?ほら、うちの部署に契約で来てる田崎さん。今月で契約が終了になるから、その送別会。月曜だけど、今日が彼女の出勤最終日だから」

「あ、あぁ。そうだった」

そういえば、予定を空けとくように部署で幹事を務める後輩に言われてたけど。

いろいろあってすっかり忘れていた。


「仕事、終わる?」

香織に訊かれて、デスクのメモを見る。


「もうちょっと片付けたい仕事があるけど、ここで終わらせても問題はないかな……」

「じゃぁ、終わらせちゃおうよ」

香織に促された私は、ちょっと迷ったのちにパソコンの電源を落としてデスクの上を片付けた。



< 346 / 393 >

この作品をシェア

pagetop