ガーデンテラス703号
「ねぇ、ホタル。昨日の夜あゆかが帰ってきたかどうか知ってる?部屋のドアが開けっ放しだけど誰もいなく、て……」
ほとんど裸同然でホタルに跨られている私と目が合った瞬間、早口で話しながらドアを開けたシホの動きが止まる。
「きゃーっ!ホタルの変態っ!」
だけど、その数秒後にはシホの絶叫と勢いよくドアを閉める音が703号室の部屋中に響き渡った。
その声に眉を寄せながら、ホタルが煩わしげに舌打ちをする。
私は恥ずかしくていたたまれなくて、ホタルのベッドの布団にくるまったまま、出勤ギリギリの時間が迫るまで彼の部屋から出られなかった。