ガーデンテラス703号
「ホタル、もうすぐ仕事……」
「うん」
頷きながらも、ホタルは私に触れるのをやめようとしない。
特にシホがいないときはそれをいいことに、ホタルはこの部屋のどこででも私に触れてくる。
「ホ、タル……」
日中の明るいところだと恥ずかしくて仕方ないけど、抱きしめてくれるホタルの体温や優しく落とされるキスが心地よくて、結局私は抗えない。
「そろそろ行かないとな」
仕事に出かけるギリギリまで私に触れてから、ホタルがソファーから立ち上がる。
私は乱された衣服を急いで整えると、仕事の用意をするために部屋に戻ったホタルを追った。
パタパタと小走りで玄関前まで送りに出ようとすると、身支度を済ませたホタルがちょうど部屋から出てくる。
まださっきの余韻で身体を火照らせている私と違って、ホタルは余裕そうで涼しげだ。