ガーデンテラス703号
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待ち合わせ場所は、夜景の見えるレストランがあるホテルのロビーだった。
シャンデリアのかかった高い天井。
上等そうなふわふわの絨毯に、高級そうな革張りのソファー。
香水のような花の匂いの漂う、セレブリティーな空間を行き交うのは、スーツやドレス姿の着飾った人たち。
完全に非日常な空間の中でホタルを待つ私は、自分がその場でひとりだけ浮いているようで気が気じゃなかった。
ソファーに座って待つのもなんだか気が引けて、ロビーの隅の柱に隠れてできるだけ目立たないようにする。
入り口のほうをチラチラと気にしながら柱の陰で待つけれど、待ち合わせの時間が過ぎてもホタルはやってこなかった。
スマホを取り出して、連絡しようか迷っていると、ホタルからメッセージが届いた。
『少し遅れる。レストラン予約してるから、先に入っといて』
遅れるんだ……
先に、って。