ガーデンテラス703号
私が躊躇っている間に、入り口前に立つ男性スタッフが予約客であろう人たちを次々中に通していく。
その中のほとんどの女性客が華やかなドレスを身に纏っている。
彼女たちの身のこなしは、私の目にはとても上品でスマートに見えた。
美容室に行って、いつもの私からは見違えるくらいに綺麗にしてもらったつもりではあったけど……
私はこんな格好で本当に大丈夫だろうか。
入り口から付かず離れずの場所を左右にうろうろしていると、そんな私に気が付いた男性スタッフがにこやかに笑いかけてきた。
「ご予約のお客様でしょうか」
丁寧に話しかけてきたそのひとは、私よりも少し若そうでなかなかのイケメンだった。
「あ、えっと、その……」
「ご予約されているようでしたら、お名前を伺ってもよろしいですか?」
「あ、あ、えーっと……」
慌てて挙動不審になる私に、彼が小首を傾げながら微笑みかけてくる。