ガーデンテラス703号


「ふられちゃったんだー、って……ショックだったでしょ?結婚考えてた彼氏だもん」


私も将来を思い描いてた元カレの遥斗にふられたときはショックだったから。

そのときのことを思い出すと、辛さを隠して明るく振舞っているシホが気の毒に思えた。


「ショックはショックなんだけどね。だからってあゆかがそんな顔しないでよ」

私はよっぽど同情の目でシホを見ていたらしい。


「ごめん」

思わず謝ると、シホが私の肩を小突きながら笑った。


「別にいいよ。ショックはショックなんだけど…実はちょっとスッキリしてる部分もあって、だから複雑なの」

「どういうこと?」

「うーん。元カレのこと、大事だったし好きだったんだけど、いざプロポーズされると彼と結婚する実感が全然わかなかったんだよね」


シホはほんの少し眉を顰めると、難しい顔をして料理の並ぶダイニングテーブルを睨んだ。


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