〝 噂 〟 今×花


解散 、と監督の声が響き渡り
ありがとうございました、と
チームメイトが声を出す 。
そうないつもの光景だが 、今吉の
頭の中は花宮のことでいっぱいだった。

『 花宮 、』

ロッカールームで着替えながら
花宮に声をかける 。

「 あぁ、わかってるよ 。
アンタに逆らうつもりはねぇよ」

そう言い放っては着替え終わった練習着を
几帳面に畳み、バッグに詰めた 。

何も言わずに二人で部室を出た 。

「 おい、」

帰り道、沈黙に耐えられなくなったのか
花宮が口を開く。

『 ん ? どないしたん 、』

「 アンタ、昨日いつからいたんだ 」

『 いつから 、て ... 相手の男が
声出せよ て言うとった辺りやなあ 』

そういって目線だけを花宮に向けると
〝 そうか 〟と言って俯いたのだった。

しばらくまた沈黙が続き、やっと家に着く。

「 アンタ、ひとり暮らしか ?」

『 せやで 。親は大阪におるわ 』

そんな会話をしながらも 、
花宮は丁寧に靴を揃え 育ちの良さを感じさせる。

自室に案内すると今吉は口を開く。

『 それで 、や 。何やねん 、昨日の』

単刀直入に本題を切り出した。
すると花宮は独特な笑いを見せた。

「ふは っ...バスケと同じだよ 、」

そういうと 面白くなさそうに言葉を続ける。

「 秀才だか凡人だかしらねぇが、
快感 味合わせてやれば一緒なんだよ。
みんな揃ってアホ面下げて
俺に落ちてく様が面白ぇんだ 。
... それだけだよ 。」

そういいながらも花宮の表情は、
どこか切なげに見えた 。
少なくとも面白そうには見えなかったのだ。

『 ええ趣味やんか 。
せやけど部室使うんはどうやねんな。
場所くらい考えてや 、』

〝 すまなかった 〟と、ひとこと呟いて
花宮は目を逸らしたのだった 。

『 お前多分 、俺がバラしたら停学やで 。
親もどう思うやろなぁ 、花宮 』

くすっと笑ってやると 、花宮も笑みを浮かべる

「 ... ほんと 、アンタに 人の嫌がることを
させたらぴかいちだな 。」

『 他にも言うことあるやろ ?』

花宮は笑いながら ブレザーを脱いだ。

「 口止め料 、だろうが」

『 さすが花宮は頭がええなあ。
話も早くて助かるわ 、』

そういって今吉は花宮を押し倒した 。

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