子犬系男子の溺愛っぷり。
「怜先輩?」

「な、何」

「いや…顔が赤くなってるので、どうしたのかなって」


赤く……?

別に照れてる訳でもないから、赤くなってるはずはないんだけど。

でも、身体が妙に熱い…?


詩織と話してる時は全然気が付かなかったけど、若干クラクラするかも…。


「…もしかして、熱ですか?」

「へ、いや、まさか」


もしかしたら熱が出ているかもしれないけど、ほかってたら治るかもしれない。

身体が熱いだけで、熱なんて本当はないのかもしれないし。


「ちょっと、失礼しますね」

「え、ちょ…」


夏目君の手が、あたしのおでこにゆっくりと触れた。

大きくて冷たい手が…


目の前にいる夏目君の顔が少しだけ近くて、思わずドキっとした。

真っ直ぐ見つめられている瞳を逸らす事が出来ずに、ただ、見つめ返すだけ。


「怜先輩、熱ありますよ!」


その言葉で現実に引き戻された。
< 111 / 432 >

この作品をシェア

pagetop