子犬系男子の溺愛っぷり。
「詩織ー…」

「あ、怜熱あるんでしょ?
大人しく夏目君に連れて行ってもらいなさいよ」


助けを呼んだものの、逆に保健室に行くように促された。

それも、夏目君付きで。

全て話を聞いていたんだろう。


それか、夏目君の肩を持ってチャンスをあげてる感じ?

それとも、あたしにとっても気持ちに気づくいいチャンスだと思って?


「怜先輩、行きましょ?」

「あー、うん」


ただならぬ雰囲気の中、重たい足取りで保健室に向かう。

右手はなぜか繋がれていて。

その手に注がれる数々の視線。


……今すぐにでも、この場から逃げ出してしまいたいくらい。

がっちりと繋がれている手を解こうと努力してみても無駄で。


「怜先輩、大人しくしてください」


どうやら保健室に着くまで離す気は、毛頭ないみたいだ。

どっちが先輩で後輩なのか分からない。


夏目君の手がひんやりとしていて、身体が熱いあたしにとっては気持ちいい。

無意識のうちに、夏目君の手をギュっと握り返していた。
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