子犬系男子の溺愛っぷり。
夏目君は立ち止まって、その場から一歩も動こうとはしない。


「夏目君、」

「嫌です。怜先輩を1人にするなんて俺が無理なんです!」


それだけ言うと、氷枕と冷えピタを持ってきてくれた。

…あたしの看病でもするのだろうか。

ベッドに横になると、手際よく氷枕を頭の下に敷いてくれてた。


「…ありがと」

「いえ、これくらい」


ふかふかなベッドに横になって数分、眠くなってきて瞼が重たく感じる。

夏目君が、ぼやけて見える。


おでこに貼られた冷えピタがひんやりしていて気持ちよくて、顔の火照りが少しだけ和らいでいく。


「怜先輩、ゆっくり休んでください」

「…ん。」


夏目君の声に安心しきったあたしは、瞼をゆっくりと下ろしていく。

最後に見た夏目君の顔は、優しく微笑んでいて、少しだけ色気があってドキっとした。


瞼を閉じても夏目君の姿が鮮明に思い出される――。
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