子犬系男子の溺愛っぷり。
「それはない!怜の可愛さはあたしが一番分かってるし。それに噂でも聞くのよ〜。"黒瀬さん可愛いよな"とか"一度でいいから話してみたい"ってね!」

「嘘…」


知らなかった。

…というより周りに興味がなかったからなのかな。

実際噂ってただの噂だし、実物見たら可愛くないってなるもんだよ。


あたしなんて普通だし。

可愛くないって分かってるし。


「だから怜は自分に自信持ってよ!」

「無理だよ」


自分に自信持つだなんて。

あたしには出来ないよ。

自信ってどうやったらつくの…?


「うーん…怜は難しく考えすぎなんだよ。自信なんて最初から持ってるわけじゃないし、少しずつだよ!」

「そう?」

「そうなの!気持ちを伝えるのは確かに怖いけど、その為に"何か"を頑張るのは大事な事だと思うよ。
その一歩前進がミスコン!それで少しでも自信ついたら気持ち伝えられるんじゃないかな?」


頑張る、か……。

あたしには縁のゆかりもない言葉。

一度だって頑張った事ないよなー…


必死になって何かを目指した事もないし、努力した事だってない。

今まで通りでいいのかもしれない。


頑張らなくて、いつも通り。

自分から何も欲しがらないで。


…だけどそれじゃ、嫌。

夏目君があんなに真っ直ぐに想いを伝えてくれてるのに、あたしがこんなんじゃ絶対にダメ。


あたしだって夏目君と同じ目線になってちゃんと伝えたい。
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