子犬系男子の溺愛っぷり。
「なぁ、黒瀬〜!」


タイミングの悪い時に声をかけてきた斎藤。

悪びれた様子もなく、いつもみたいな感じで慣れたように目の前に来て。


「ドレスになったのか?」

「あー…うん」


本当は頷きたくないけど、3日後にはやらざるを得ないから。

凄く嫌だけど。


フリフリのメイド服を着るよりはマシだと思って仕方なく…


「見たいけど、周りの奴には見られたくねぇな」

「何で?」

「あ、いや、ほら。…まぁ、今のは忘れろ!」


何それ。意味分からないし。

勝手に話しかけてきて勝手に言いかけた事なのに、やっぱり忘れろだなんて…


斎藤は何を言いたいのか分からない。


「途中まで言いかけてやめるのなし。続き気になるんだけど」

「悪い、さっきのは本当に何でもないんだ。忘れろ」

「はぁ?」


何でもないはなくない?

言いかけてるんだし何かあるのは間違いないんだから。
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