子犬系男子の溺愛っぷり。
ーー…


斎藤はまだ1人で屋上に残ると言って、あたしは屋上を後にした。


友達でいると言ったって振られた直後はさすがにお互い気まずいだろうし、何より斎藤自身が辛いだろうから…


屋上を後にする時の斎藤の後ろ姿が寂しそうに感じた。

声をかけてやりたいけど今あたしが声をかけたとしても斎藤が辛くなるだけだから、黙って目をつむった。


教室までの道のりが随分長く感じる。


明日からも普通に接してくれるかな…

やっぱりすぐには無理だよね。


あたしの選択はこれで間違っていなかったのだろうか?


ーーー…ううん、間違ってない。

今はそうやって自分に言い聞かせるしか出来ないのだから。


「ーー…あ、怜先輩」

「…怜、」


教室には裕貴君と詩織が待っていた。


いつもの笑顔が裕貴君になかったから、もしかするとあたしが今まで誰といたのか分かってるからなのかな?って。


それとも詩織が…?

いや、詩織は勝手にそんな事言う子じゃないから。


そうだとしても裕貴君には嫌な思いをさせちゃったよね…。

後でちゃんと謝ろう。
< 248 / 432 >

この作品をシェア

pagetop