子犬系男子の溺愛っぷり。
校舎を出て校庭を歩いている時に、あたしは口を開いた。


「裕貴君。今からあたしが話す事を聞いてほしい」


それだけ言うと、裕貴君は何も言わずに黙って頷いた。


これから何を話されるか分かっているかもしれないけど、それでもあたしの口から話さないと裕貴君の不安は拭えないと思ったから…。


裕貴君には隠し事もしたくないし、嘘もつきたくないから。


「あのね、斎藤…って言っても分からないか。同じクラスの友達なんだけど…。告白されたの、好きって。」


何て話せばいいのか頭がぐちゃぐちゃで分からないけど、とりあえずどうにかして伝えようって思った。


「あたしが付き合ってるのは分かってるから、ただ気持ちだけ伝えたいって。
…もちろんその気持ちは断ったけど。」


今から言う事で裕貴君が傷ついてしまうかもしれない。

あたしを嫌いになってしまうかもしれない。


……それでも、隠し事だけは絶対に嫌だから。


「最後に、斎藤に…抱きしめられ、たの。少しだけ…。
それは絶対にダメだって分かってるの。分かってたんだけど、どうしても悲しそうにしてる斎藤を突き放す事なんて出来なくて…


本当、ごめん。
彼女としてどうかしてると思う…。嫌われても仕方ないって思う。


だけど、友達だから…っ

突き放すなんて無理、だった…」
< 250 / 432 >

この作品をシェア

pagetop