子犬系男子の溺愛っぷり。
荒々しい声を上げた裕貴君。


こんな声、初めて聞いた…

それはやっぱり怒ってるから?


「お願い。怜先輩、ちゃんと聞いて」


先程とは違い、穏やかで優しい声があたしの耳に入ってきた。

ゆ、裕貴君……


怒ってるの?それとも怒ってないの?


目の前にいる裕貴君の顔を見ると、怒ってるようには見えない…。

でも、分からない…


「怜先輩は、悪くないよ。
俺は怒ってるんじゃないんだ。…ただ、不安なだけで。」

「…怒って、ないの?」

「うん。…もしかしたらあいつに取られるんじゃないかって不安で…。
だから怜先輩が泣く必要ないよ」


不安って言ったよ…

やっぱり不安にさせてたんだね。


それなのに優しい声で優しい言葉をかけてくれる裕貴君。

どんだけ優しいの…。


「ほら泣かないでください。俺、怜先輩の事嫌いになんてなりませんよ。嫌いになるわけない!」

「…ん…」

「怜先輩が別れたいって言っても別れてやらないんですからね」

「…う、ん…」


好きだよ、裕貴君…。

大好きだよ、裕貴君…。
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