子犬系男子の溺愛っぷり。
別れなくていいんだ…。

嫌われてなかったんだ…。


良かった。良かった……っ!


「…好き。…好き、だよ」

「俺も好きだよ」


子犬のように可愛らしい笑顔。

久しぶりに見た気がする…。


懐かしい笑顔にホっとして、涙もだんだん止まっていった。


「…だけど、抱きしめられたのはダメ。俺以外の匂いをつけてるなんてダメ」

「え、きゃっ…!」


住宅街の脇道に引っ張られたと思えば、裕貴君の腕の中。

まだ外だから人が来てもおかしくないのに、それを全く気にしている様子が見られない。


がっしりと背中に回っている腕がたくましくて身体が熱くなる…。


「…怜先輩に触れていいのは俺だけ」

「ゆ、裕貴君?」

「他の男に抱きしめられたなんて、ムカつく。…ましてや、あの男に。」


…"あの男"って事は、裕貴君はあたしが誰といたのか分かってるよね?


てか、ムカつくって…

もしかして。もしかしてだけど…


「…や、ヤキモチ?」

「そうだよ。悪いですか?」
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