子犬系男子の溺愛っぷり。
「俺の名前分かる?」

「いや……、ごめん」


クラスメイトの名前すら覚えてないって酷い奴だと思われるかもしれないけど、人の名前を覚えるのが苦手で…

小学校の時も中学の時も、物凄く苦労したのを覚えている。


「俺、斉藤学(さいとう まなぶ)」

「…斎藤、君」


斎藤君は、フレンドリーでクラスのリーダー的存在のような感じがする。

みんなをまとめて引っ張っていってくれそうな、そんな感じが。


……制服の着方は、ちょっと直してほしいものだけれど。

本音を言うと目のやり場に困ると言うか、とりあえず色気放出し過ぎと言うか……


「君は無しな!」

「無理」

「君付けしたら、デコピンな!」


子供じみたお仕置き。

高校生にもなって、君付けしたらデコピンだなんて、色気たっぷりな男が何を言うんだ!って感じ。

だけど、本人は本気みたいで、空(くう)でデコピンの練習をしている。
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