子犬系男子の溺愛っぷり。
あたしってば単純なのかな?


「何にため息ついてんのか知らねぇけどよ、幸せ逃げるぞ?」

「もう逃げてるわよ」


きっとあたしの幸せは、ずーっと前に逃げちゃったのかも。

だからため息の一つくらいじゃ今更どうってことない。


それにため息ついたら幸せ逃げるなんて本当なのかも分からないし…。


「お前さ、もうちょい自覚しろよ」

「…え?」


自覚っていうのは?

あたし、何かダメなの!?

呆れた顔であたしの方を見ている斎藤の考えが全く分からない。


…こういう時に考えることじゃないけど、斎藤やっぱかっこいいわ。


「俺、お前の事好きになってる」

「……え、」


今のは聞き間違い…?

だって、あたしの耳にあり得ない言葉が流れ込んできたもん。


一生聞くことはないだろうと思っていた言葉が…。


「何ボーっとしてんだよ。今の聞こえただろ?」

「え、と?」

「だーかーら、俺がお前を幸せにしてやるって言ってんだって!」

「……え!?」


嘘…じゃ、ない?

聞き間違えなんかじゃなくて?
< 422 / 432 >

この作品をシェア

pagetop