子犬系男子の溺愛っぷり。
何を話してるんだろう……?


「怜先輩、もう帰れますか?」

「あー、うん」


夏目君の声にハっとした時には、詩織の姿は見えなくなっていた。

いつもの笑顔を添えて、あたしが来るのを待っている夏目君は、動物に例えると間違いなく犬だ。


あどけなさの残る笑顔は、可愛らしさが上回っていて、見ているあたしが癒されるくらい。

人1人分あけて歩いているのに、ふんわりといい匂いがする。

それは間違いなく夏目君の方からで。


男子は汗臭いイメージがあるけど、夏目君の場合はそんな事全然なくて、嫌悪感すら感じられない。

そもそも汗かくような感じすらない気がするけど、それはあたしだけ?


「怜先輩と一緒に帰るの、これで2回目ですね〜!」

「そうだね」


あたしよりも身長が高くて当然見える景色も違うはず。

夏目君の瞳には、どんな景色が写って見えるのか見てみたい。


「俺、今凄いドキドキしてます」

「それ、言わなくていいから!」


いちいち思った事を口にするところは、子供っぽく感じてしまう。
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