memory
「お前最近、あの空井と仲いいんだって?女子共が噂してたぞ。」
と健也が言う。
「えっ何で知ってるの?」
俺は少し驚いた。噂になるようなことはしているつもりない。
「空井というとあの例の「月子」ちゃん?」
「空井さんは陽子だけど。」
「いや、女子の間でそう呼ばれてたのよ。太陽というより月だからって。まぁ確かに絶対零度な感じはあるよね。」
瞬は言う。
「空井さんはそんなに冷たいわけじゃないけど。」
俺は不満気に言う。
「でもまぁ気をつけろよ。女の嫉妬は怖いらしいぞ。」
健也の言う意味がわからない。
「どういうこと?」
「えっ!澪ってば自覚ないの?」
二人とも少し驚いていた。
「お前、女子に人気なんだぞ。背高くてイケメンで、優しいからって。」
耳を疑う。
「嘘だろう。」
瞬は俺の顔をまじまじと見る。
「…本当に無自覚っているんだね。ちょっと衝撃。」
「それはともかく、気を付けろよ。空井はただでさえ評判良くないから。口説くなら、ちゃっちゃと付き合って守ってやるんだな。」
「それが出来れば苦労はしないよ。」
それからクラスのことや部活の話に花を咲かせていたら、急に思い出した。
「あっ忘れてた。ちょっと学校戻るわ。」
「忘れ物?澪にしては珍しいね。」
「ごめん。また明日な。」
そう言って学校へ駆ける。