memory
俺は記憶を頼りに、彼女が住んでいた家を訪ねる。
ピンポーンとチャイムを鳴らす。
すると、おじいさんが出てきた。
「どちらさんかね。」
「陽子さんの中学の頃の同級生です。突然訪ねて申し訳ありません。」
「もしかして、立花澪君かね?」
「そうですが・・・?」
「まあ、お上がりなさい。」
家の中に足を踏み入れる。
居間に通され、お茶を出される。
「ちょっと待ってくださいな。君に渡す物があるんだよ。」
おじいさんは他の部屋に移ると、しばらくして何かを手に持って戻ってきた。
それは、青い封筒に入った手紙だった。
「陽子の遺品を整理したら、出てきてな。でも、中身は見てないよ。もし、ラブレターだったら、読むのは野暮だと思ってな。」
おじいさんは目にしわを寄せる。
俺はその手紙を受け取った。