memory

俺は記憶を頼りに、彼女が住んでいた家を訪ねる。

ピンポーンとチャイムを鳴らす。

すると、おじいさんが出てきた。

「どちらさんかね。」

「陽子さんの中学の頃の同級生です。突然訪ねて申し訳ありません。」

「もしかして、立花澪君かね?」

「そうですが・・・?」

「まあ、お上がりなさい。」

家の中に足を踏み入れる。

居間に通され、お茶を出される。

「ちょっと待ってくださいな。君に渡す物があるんだよ。」

おじいさんは他の部屋に移ると、しばらくして何かを手に持って戻ってきた。

それは、青い封筒に入った手紙だった。

「陽子の遺品を整理したら、出てきてな。でも、中身は見てないよ。もし、ラブレターだったら、読むのは野暮だと思ってな。」

おじいさんは目にしわを寄せる。

俺はその手紙を受け取った。

< 52 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop