memory
俺と彼女は同じ保健委員になった。
別に狙ったわけではない。本当に偶然同じになった。
仕事をするときに積極的に話し掛けてみるものの、やはり返しは素っ気ない。
彼女から俺に話し掛けるのは連絡事項を伝えるのみだ。
それでも俺は彼女が気になって、めげずに話し掛け続けた。
「俺、今日誕生日なんだよね。5月18日。空井さんは誕生日いつ?」
そう訊ねると彼女は一瞬苦しそうな表情を浮かべた。だがすぐいつもの無表情に戻った。
「5月6日。」
「じゃあ、ついこないだだったんだね。おめでとう。同じ14歳なんだ。」
「立花君もおめでとう。じゃあこの石鹸配布したら、今日は仕事終わりだから。」
そう言ってさっさと仕事を終わらせ、帰ってしまった。
さっきの一瞬の表情が気になる。