memory
2章
制服が半袖にかわる頃の放課後、彼女と一緒に委員会のポスターを書いているときに俺は驚いた。
「絵も上手いんだね。」
「ありがとう。」
それだけ言うと、彼女は作業を続ける。
6月に入りそろそろ暑くなってきたので、熱中症対策を呼び掛けるポスターだ。
水分をとっているスポーツ少年の絵に見覚えがある気がする。
「これってもしかすると、俺?」
「立花君バレー部でしょ。」
「知ってたんだ。」
「中1の時にバレー部の先輩に凄く勧誘されてたの見た。」
身長175センチと中学生にしては高身長の俺は男子バレー部にもの凄く熱心に勧誘された。
運動部に入るつもりなどなかったのだが、先輩方の熱心過ぎるお誘いに折れて入部してしまった。
とはいえ、男バレは人数も少なく、体育館も他の部活との兼ね合いでなかなか使えず、練習日数が少ないので、弱小チームだ。