抱きしめて。
「よし…!」
やっと決まった。
白のニットに短めのショートパンツを選んだ。
家を出るときにロクに服を持ってきていないせいか自分の服の少なさに少しおどろいた。
……そういえば。
約束時間の30分前に支配人のもとを訪ねた。
「髙宮くんじゃないか。」
支配人は早速名前を憶えていてくれたようだ。
「あの、必要なものを買いたいので稼いだお金をもらっていってもいいですか?」
こればかりは仕方がない。
まあ、どうせにげたところで私には帰る場所はここしかないと知っているのか支配人は快くお金を取り出してくれた。