風の声が聞こえる
空港の出入口付近で、案内役がホテルの名前の書いてある旗を持って立っている…と聞いていたのに、それらしき姿が見当たらない。



キョロキョロしているとアロハシャツを着た、浅黒い顔の男性と目があった。



「こんにちは。滝沢様、ですね?」



「はい」



「ようこそいらっしゃいました。お疲れ様です。お宿にご案内します」



「はぁ…ありがとうございます…」



白いワゴン車に案内された。他に客は、いない。


「15分ほどで着きますので…」



「あの…私、ひとりですか?」



「…こんな遠い遠い島まで遊びに来られる方は、なかなかいませんので」


小さな島だけれど結構賑わっている…むつみが言っていたわりに、観光客らしき姿はないし、静かな島だ…。



波も穏やかで、キラキラと輝いている。



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