風の声が聞こえる
部屋に案内された。輝く海が見える。窓を開けると、心地良い風が私を包んでくれた。


「素敵…」


思わず、呟いた。
目を閉じて、風を感じると、風の声が聞こえる気さえした。


『チリンチリン』


風に乗って、自転車のベルの音が耳に届いた。目を開けると、自転車を漕ぐ、郵便配達員の姿が見えた。


ちょっと古びた真っ赤な自転車が、島の長閑な風景にとけこんでいた。街では見られない光景が、心を和ましてくれた。


島を散歩してみよう。そう思い、1階に降りると先ほど見かけた郵便配達員が、玄関先にいた。


「こんにちは」



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