風の声が聞こえる
「遠野さんに、お手紙です」


「ありがとうございます」


2人がやりとりをしている間、私は、飾られている写真を眺めていた。


良太くんは、写真部の部長をしていた。2人で遠出をする時は、必ずカメラを持参して、景色ばかりを撮っていた記憶がある。


「コレ…」


私は、ある1枚の写真の前で立ち止まった。見覚えのある、写真だ。


「この写真、島の風景じゃないですが…素敵ですよね」


いつの間にか私の後ろに和賀さんが立っていた。


「この写真…」


私は、良太くんに視線を送った。良太くんは、あの頃と変わらぬ、優しい笑顔を返してくれた。


「さぁ、次に行きましょうか?」


「はい…」


背を向けた私に、良太くんは言った。


「また、写真を見に来て…」


…と。



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