風の声が聞こえる
「良かったですね、島に知り合いがいて」


自転車をゆっくりと漕ぎながら、和賀さんが私に話しかけた。


「高校の同級生で、引っ越ししてから会う機会がなかったので…」


「そうですか…」


「良太くんは、いつから、ここに住んでいるんですか?」


「僕より前から、住んでいると思いますよ」


「…ひとりで?」


「ひとり、ですね」


『また、写真を見に来て』


この島を離れる前に、必ず会いに行こう…そう思った。


「そういえば、自己紹介していなかったですね!僕は、和賀風馬といいます」


「私は、滝沢いづみです」


はじめまして


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