風の声が聞こえる
ギギギ…と、重い木の扉を開いた。


「写真、見に来たよ」


「いづみちゃん…」


良太くんは、笑顔で迎えてくれた。でも、なんだか哀しげな表情にも見える。さっきの和賀さんの笑顔のように。


「この写真、うちにも飾ってあるよ」


この島のものではない写真。空の青と真っ白な滝、そして、虹…。良太くんのいちばんお気に入りの写真だ。


「あの頃、この写真を『最高傑作だ』なんて言ってたけど…大人になった今でも、この写真が『最高傑作』なの?」


「大人になった…今?」


「うん。良太くん、若く見えるけど、まだ心は十代だ…なんて言わないよね⁉︎」


笑顔で冗談を言った。気に触ったのか、表情がみるみる暗くなった。


「あっ、ごめん…私…」


「いや、いいんだ。僕は大人になれなかったけど…いづみちゃんは、大人、だもんね…」


「どういう意味?」


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