風の声が聞こえる
綾也は、灯台の監視をしているようだ。2人肩を並べて、灯台に向かいながら歩いた。


「いづみは…オレのせいで…死んだのか?」


ゆっくりと、私に尋ねる。そうじゃない…と、応えた。


「ヨメ島に行くハズが、ヨミ島に来ちゃった…」


へへへと笑った。正直、笑える余裕はないけれど、驚くくらい冷静だった。


「オレは…いづみが…真っ赤に染まっていくのを…見て…」


その続きは、聞きたくない。そう思い、綾也の口を塞いだ。口を塞がれた綾也は、驚きのあまり歩を止めた。


私の手に触れた綾也の頬は冷たかった。




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