風の声が聞こえる
『なんだ?オレを殺す気か?』



『違う。正当防衛よ…。お願いだから、もうやめて…。私もあなたも傷だらけだよ…』



『ウルサイ!』



すぐにナイフは奪われ、殴る蹴るの暴行を受けた。



こんなことなら…死んだほうがマシ…。私は、床に転がったナイフを手に取り、自分の脇腹を刺した。



白いブラウスが、みるみるうちに赤く染まり、記憶は、はるかかなたに消えて行った…。



傷は浅く、私が命を落とすことはなかった。



『綾也が自殺した』



病院のベッドで目を覚まして、聞かされた。



どうしてDVを繰り返したのか、どうして自ら命を絶ったのか…今となっては何もわからない…。


< 4 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop