聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~はじまりの詩~
…そしてあっというまに、リュティアたちがヴァルラムを去る日がやってきた。
薄紫の空が世界を暁色に染める。
そのほの暗い色彩がヴァルラムのすべてを包み込む。寝静まる王宮も、早い朝を迎える掛け声に満ちた訓練場も、そしてリュティア達が佇むこの城門前の広場も。
旅装を整えたリュティア、カイ、アクスの三人のそばで高く低く噴き上がる噴水が夜明けの光を待っている。
三人に向き合うのは目立たないよう灰色の外套に身を包んだジョルデ、フレイア、ザイドだった。
リュティアが別れを告げるために大きく息を吸い込むと、少し冷たい、けれど湿った空気が今日も蒸し暑くなることを予感させた。
「私たちはこれからプリラヴィツェへ向かいます。ふたつめの聖具“虹の錫杖”を手に入れるために…」
そう、リュティアたちはこれから北のプリラヴィツェへと向かう。
聖具虹の指輪を手に入れたリュティアは、星の石版から新たな一説を読み取ることができるようになっていた。
“おお、絶望よ
その壊れんばかりの胸よ
そは苦しみによって生み出されしもの
おお、苦しみよ、それこそが闇の神なる我の息吹”
この一説を読み上げた時、リュティアの中で聖なる力が盛り上がり、二つ目の聖具の場所を感じることができるようになったのだった。
それが、湖とガラスの国プリラヴィツェだったのだ。
薄紫の空が世界を暁色に染める。
そのほの暗い色彩がヴァルラムのすべてを包み込む。寝静まる王宮も、早い朝を迎える掛け声に満ちた訓練場も、そしてリュティア達が佇むこの城門前の広場も。
旅装を整えたリュティア、カイ、アクスの三人のそばで高く低く噴き上がる噴水が夜明けの光を待っている。
三人に向き合うのは目立たないよう灰色の外套に身を包んだジョルデ、フレイア、ザイドだった。
リュティアが別れを告げるために大きく息を吸い込むと、少し冷たい、けれど湿った空気が今日も蒸し暑くなることを予感させた。
「私たちはこれからプリラヴィツェへ向かいます。ふたつめの聖具“虹の錫杖”を手に入れるために…」
そう、リュティアたちはこれから北のプリラヴィツェへと向かう。
聖具虹の指輪を手に入れたリュティアは、星の石版から新たな一説を読み取ることができるようになっていた。
“おお、絶望よ
その壊れんばかりの胸よ
そは苦しみによって生み出されしもの
おお、苦しみよ、それこそが闇の神なる我の息吹”
この一説を読み上げた時、リュティアの中で聖なる力が盛り上がり、二つ目の聖具の場所を感じることができるようになったのだった。
それが、湖とガラスの国プリラヴィツェだったのだ。