聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~はじまりの詩~
少年の冷たい言葉も、リュティアの中を駆け抜ける熱い気持ちを冷ますことはできなかった。リュティアは堰を切ったように溢れ続ける涙を止められないまま、呆然とその場に座り込んだ。

その涙は、そう…悲しみの涙だった。

やっと訪れた、喪失の悲しみの涙だった。

ずっと、知りたくなかった。気づきたくなかった。

だから、知らないふりをしてきた。気づかないふりをしてきた。

心を守るために、それが必要だった。

けれど、知らされてしまった。気づかされてしまった。

真実はあまりにも残酷で、容赦がなかった。

リュティアはそれを受け止めきれぬまま、またしても知らぬふりで、心の片隅に追いやろうとしていた。けれど、知らされた今となっては、もうそれは難しかった。だから、疑問が胸の中でとどろいていた。

死とは何か。

その恐ろしさ、冷たさ、残酷さについて、考えずにはいられなかった。

心は叫んでいた。

死があるのなら…すべてには終わりが来るのなら、なんのために生きるというのかと。

生きるとはなんなのか。

終りが来るのに、絶対に来るのに、生きることになんの価値を見出せるのか。

その疑問に今、鮮やかに答えが与えられた。

それは到底言葉にできる類のものではなかった。だがリュティアは確かに、目が覚めるように答えを得たのだ。

まばゆいまでの出会いが教えてくれた答えは、やさしい答えだった。想像していたような、胸を引き裂く答えではなかった。流れ続ける涙は、悲しみのせいだけではなくなっていた。

少年との出会いが、やっと、向き合わせてくれた。

その、「事実」と…。
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