聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~はじまりの詩~
第七章 聖試合
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さんさんと降り注ぐ明るい夏の日差しが、緑をいきいきと照らしだす。濃い緑に濃い緑が重なって、さらに濃い緑になりながら、さわさわと風に揺れる。
大地に生い茂るシダ植物、ふわふわとした花穂をつけたエノコログサ、たわわに実をつけたグミの木、それにからみつく蔓性植物―ヴァルラムの植物園は不思議なところだ、とリュティアは思った。
一見すると無秩序に見える眺めだが、その中に力強い植物たちの生命力が感じられる。
美しさよりも強さに重きをおいた、武勇の国ヴァルラムらしい植物園だ。
リュティアたちはフレイアの客人として王宮に招かれた。そしてフレイアのはからいで、神官長を呼び、植物園にてパールと聖具について話を聞くことになっていた。
「何から話せばいいのかしら…どうでもいいことかもしれないけれど、ちょっとだけ、思い出話をさせてちょうだい」
フレイアは煉瓦(れんが)敷きの小道を歩きながら、遠い目になって語りはじめた。リュティア、カイ、ザイド、ジョルデ、神官長は、ただその声に耳を澄ませた。
「あの子が生まれた時、私が6歳の時、お姉さんになったのよって言われて、とまどったわ。でもぷにぷにの頬に触ったら急に嬉しくなって、お姉さんになったんだってはしゃいだわ。
私とパールはそれからいつも一緒だった。
パールは私と違って大人しい子だったけれど、私たちは本当に、親友のようによく遊んだの。
パールはここがすごく好きだったわ。よくこのあたりで一緒に瞑想したものよ。といっても、私は瞑想の間中おいしいもののことを考えてよだれをたらしてたんだけどね」
シダの葉影から、グミの木陰から、今にも聡明そうな10歳の少女がひょっこり顔をのぞかせそうだった。
「神官長も知ってのとおり、あの子には生まれたときから不思議な力が備わっていたわ。それは自然の声を聞くことができる力。あの子は大雨の日や干ばつや飢饉をあらかじめ予測することができたの。だから幼い身で…神殿の巫女姫に選ばれ、聖具守護の任に就くことになったの。
聖具守護の任について、神官長、説明してくれる?」
大地に生い茂るシダ植物、ふわふわとした花穂をつけたエノコログサ、たわわに実をつけたグミの木、それにからみつく蔓性植物―ヴァルラムの植物園は不思議なところだ、とリュティアは思った。
一見すると無秩序に見える眺めだが、その中に力強い植物たちの生命力が感じられる。
美しさよりも強さに重きをおいた、武勇の国ヴァルラムらしい植物園だ。
リュティアたちはフレイアの客人として王宮に招かれた。そしてフレイアのはからいで、神官長を呼び、植物園にてパールと聖具について話を聞くことになっていた。
「何から話せばいいのかしら…どうでもいいことかもしれないけれど、ちょっとだけ、思い出話をさせてちょうだい」
フレイアは煉瓦(れんが)敷きの小道を歩きながら、遠い目になって語りはじめた。リュティア、カイ、ザイド、ジョルデ、神官長は、ただその声に耳を澄ませた。
「あの子が生まれた時、私が6歳の時、お姉さんになったのよって言われて、とまどったわ。でもぷにぷにの頬に触ったら急に嬉しくなって、お姉さんになったんだってはしゃいだわ。
私とパールはそれからいつも一緒だった。
パールは私と違って大人しい子だったけれど、私たちは本当に、親友のようによく遊んだの。
パールはここがすごく好きだったわ。よくこのあたりで一緒に瞑想したものよ。といっても、私は瞑想の間中おいしいもののことを考えてよだれをたらしてたんだけどね」
シダの葉影から、グミの木陰から、今にも聡明そうな10歳の少女がひょっこり顔をのぞかせそうだった。
「神官長も知ってのとおり、あの子には生まれたときから不思議な力が備わっていたわ。それは自然の声を聞くことができる力。あの子は大雨の日や干ばつや飢饉をあらかじめ予測することができたの。だから幼い身で…神殿の巫女姫に選ばれ、聖具守護の任に就くことになったの。
聖具守護の任について、神官長、説明してくれる?」