これが、あたしの彼氏です。- 2 -
その後、あたしは呆気なくも矢沢君の家に上がらせてもらう事となった。
何だか無償に緊張してしまい、胸がドキドキする。
そんな状況を少しでも楽にしようと、あたしは辺りをグルグルと見渡してみる。
するとそこで一つ、「もしかしたら此処は矢沢君の新居なのかもしれない」と気付き、あたしは結構前に矢沢君が引っ越ししたという言葉をポンと思い出した。
そんな小さな確信を元に「ああこれが新しい矢沢君の家か」なんて考えつつ気を紛らわしながら、あたしはもう一度矢沢君の家の中をじっくりと見渡した。
「………」
以外にも清潔感溢れる奇麗な部屋で、家具は殆ど黒で統一されていて如何にもシンプル重視って感じの家だ。
矢沢君って意外と几帳面なのかもしれない、とそんな呑気な事を思っていると、
「……、おい」
不意に後ろから低い声を出す矢沢君が、あたしにそっと声を掛けて来た。