これが、あたしの彼氏です。- 2 -
「おい」
「…………」
「こっち向け」
「…………っ」
矢沢君の低い声が、無駄にあたしの鼓膜を犯す。
矢沢君の視線がずっとこっちへ向けられているのが何となく分かってしまい、あたしは観念しておずおずと俯いていた顔をそっと上げた。
「………」
すると当然のように矢沢君と視線が重なり、あたしはドキリとして顔が熱く火照ってしまった。
あたしが顔を上げて矢沢君を見つめると、矢沢君は不満そうな顔から満足したような顔に一変させて、そっと小さく口を開いた。
「……お前に全部、正直に話す」
「……え、」
不意に聞こえたその言葉にあたしはピクリと体が反応し、心臓がドクンと大きく跳ね上がってしまった。