これが、あたしの彼氏です。- 2 -
「………」
(心細い…、か)
由希にそう言われ、あたしは心の中でその言葉を繰り返した。
確かに、最近は学校に来ても全く楽しくないし、何かが物足りない気がする。
それはもしかして、矢沢君が隣に居ないから――――?と考える度にあたしは首をブンブンと振った。
矢沢君はあたしの事を身代わりとしか思っていなかったというのに、自分だけがこんな事を考えているだなんてあまりにも惨め過ぎて、堪えられなくて。
あたしから「もう何も聞きたくない」と手を振り払ったくせに、矢沢君が隣に居ない事を物足りないと思うだなんて、そんなの凄く、矛盾し過ぎている。
「……っ」
(……矢沢君、)
心の中で矢沢君の名前を呟いた瞬間、―――不意にポケットの中へ仕舞い込んでいた携帯がブブブ、と震えた。