これが、あたしの彼氏です。- 2 -
お母さんのその声にあたしは急いでカーテンを開け、窓の外へと目をやった。すると、外はザアァっと音が響くような大雨が降っていて、あたしはふと矢沢君の事が頭をよぎった。
「………」
………もしかして、矢沢君がこの雨の下まだ待っているとしたら……。
けど、この大雨じゃさすがの矢沢君も帰っているだろうと考えつつも、どうしても頭から矢沢君の存在が離れなかった。
「………っ」
―――もし、もしのもし、この大雨の中まだ矢沢君があたしの事を待っていたとしたら。
その事を考えると、もう居ても経っても居られなかった。
「……っ」
(――――矢沢君…っ)
あたしはグッと唇を噛み締め、駆け足で玄関へと向かった。近くにあった傘を引っ掴み、あたしが外に出ようとすると、不意にお母さんの焦ったような声が聞こえてきた。
「心ちゃん!?こんな雨の中何処行くの!?」
「あ、ちょ、ちょっと由希が話があるって言うから行って来る…!」
あたしはそんなあからさまな嘘を付いて、お母さんの返事を待たずに家を飛び出した。